要約:法学は規範の決定性や制約力を研究することに取り組んでいますが、規範の実際の効果とは異なります。
Part2・Chapter1 法学の特徴#
法は人間社会の複雑な現象です#
- 「人間の」は「自然現象」ではなく、「複雑な」は法を多角的に、多様な方法で観察することが可能であることを意味します。
- 観察の視点や方法の違いにより、法哲学、法理学、法社会学、法史学、法教義学(法学)の分野が生まれます。
法は人間が行動や振る舞いを確立し、調整するためのルールの総体です#
- 法は高度に発展した社会形態のすべてにとっての前提条件であり、紛争を予防したり既存の紛争を平和的に解決することができます。
法学は法を研究する法律家の方法です#
- 法学者は法社会学者や法史学者とは異なり、法学(法教義学)の方法を用いて法を観察します。社会学や歴史学の方法ではありません。
- 法学は規範の決定性や制約力を研究することに取り組んでいますが、規範の実際の効果とは異なります。
法学は実在法を前提としていますが、同時に批判することもできます#
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法学が自然法や歴史哲学、社会哲学を基盤とした社会理論に変質することを避け、法学の本質を保持するためには、現行の法秩序が全体として合理的であると仮定する必要があります。
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法学は原則として特定の法秩序に対してのみ関与し、特定の「実在法」の枠組みに基づいています。しかし、その実在法の基礎となる法的思想や評価基準を研究することにより、個別の規範から距離を置きつつ、「内在性」の批判的根拠を得ることができます。これにより、現行の法の規範や問題解決策に対して批判的な立場を取ることができます。(この批判は既存の法秩序の外部からの倫理的な規範に基づくものではありません)
法政治は法学の正当な研究領域です#
- 法学はしばしば現行の規範の欠陥を指摘し、改善の提案や改善の方向を示すことがあります。また、法政治は既に得られた目標観念を適用可能な規範に変換するために、まず法学の助けを借りる必要があります。
- 「法政治の」論証を行う場合でも、法学はその限界を守る必要があります。つまり、現行の法秩序の基本原則に基づいて、個別の規定や決定の正義の内涵を検討することです。
- 法学は明確さと法の安定性だけでなく、「より多くの正義」を徐々に具体化することにも関心を持っています。